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お寺で会いましょう 月布・寳藏寺

村祭りとしての姿

山や野にまだ雪が残る3月末。月布地区の寳藏寺で『大般若経転読法会』が行なわれました。大般若経は西遊記のモデルで知られる唐代の僧・三蔵法師玄奘がインドから持ち帰り翻訳した経典で、法要では600巻余りもある経典を複数の僧侶が転読します。読経には地区の安全や五穀豊穣、家内安全などの願いが込められ、かつて大般若は村祭りとしての側面も併せ持っていたと言います。

 

月布地区を望む小高い丘の上に佇む寳藏寺。明治の頃には月布学校と呼ばれる教育施設として使用された歴史を持ち、今も石碑にその面影を見る事が出来ます。大般若では総代と呼ばれる寺役人の方々を中心に、古くから地域の方々が協力して準備を進めて来ました。『かつてはお寺が各地域の教育や文化の中心として機能していましたが、時代とともに寺離れが進み、夏祭りや盆踊りも行われなくなりました。昔はここで映画の上映会などもあったそうですよ』そう話して下さったのは住職を務める林隆弘さん。平成22年に落慶した現在の寺院はまだ木の香りも清々しく、お寺に地域の人たちが集まれる仕掛けが出来ないかと考えていらっしゃるそうです。

 

大般若では寺を訪れる檀家の方に料理が振舞われ、その準備では地区に住む女性たちが腕をふるいます。男性陣は帳面つけ。寳藏寺の大般若には他地区に比べても多くの檀家衆が集まり、人々の信仰の深さや、かつてこの場所が地域の中心だった事を伺い知る事が出来ます。

 

『大般若は現世での利益、この世に生きる人の幸せを祈るもの。寺院の持つ役割は変わっても、信仰の拠りどころと言う本質は変わりません。地域の人たちが集まれるイベントや場所作りをこれからも続けていきたい。』そう話す林住職。地区の方々が両の掌を合わせる仕草に、何世代にも渡って受け継がれて来たこの地域の歴史を見た気がしました。

 

寺の下を流れる月布川は朝日山麓に源流を持ち、雪解け水を最上川へと運びます。参道沿いを歩くと厳しい冬の終わりを感じる、日差しの柔らかな日のお話です。