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七軒のおばあちゃんが教えてくれた、贅沢な暮らし

「季節ごとのうまいたべものを、畑で採って、すぐお湯を沸かして料理して食べるってのは、すっごく贅沢だと思うんだよなぁ」

 

そう話すのは山間部の七軒地区・貫見に住むおばあちゃん、松田洋子さん。「毎日外食したり高い値段の食材を食べたりするのも贅沢だけど、自分たちが作った信頼できる食材を使い、季節を感じながらごはんを食べること、私はそれが一番の贅沢だと思っているのよ」。お話しをお聞きした松田さんのご自宅では、お茶菓子に漬物、柿、のし梅で迎えてくれました。そのどれもが家で採れたもの、なんとのし梅も手作り。茶の間の窓からは貫見の山と、綺麗な色をつけて茂らせた柿やもみじが見え、手仕事に囲まれた、自然と溶け合う心地の良い暮らしぶりが感じられます。

「のし梅って作るのにすごく手間がかかるの。外に干したり、頃合いを見て何度も表裏を返したり、今の若い人の暮らし方ではやってみたくても中々難しいかもなぁ」

山形市で生まれ育った洋子さんは、嫁入りとともにこの町へきました。「私が嫁に来た頃は貫見にも魚屋や雑貨屋、床屋もあって生活には困らないところでした。それがもう家すら無くなってきている」。数十年前までは120件ほどあった家々も今では40件程度になり、若い世代は進学や仕事とともに、便利の良い町へと出て行くようになりました。

 

「自分の生活をつくることを楽しみながら暮らしています。でも年齢とともにそれが難しくなったとき、病院が遠くてちょっと心配なのよね。いい医者がいるって聞けば、みんな町外でも通うでしょ?病院が少ないって嘆くけど、そうしてしまったのは自分たちのせいかもね、お医者さんも商売だからねぇ」。外を眺めながら話す洋子さん。七軒地域で生き生きと暮らすおじいちゃん、おばあちゃんからそんな不安を感じるのも事実です。

 

贅沢な暮らしのおすそわけ

洋子さんは10年前から『ぬくみ里の幸』を立ち上げ、地域のおばあちゃん方と漬物の製造、販売を行っています。休校となった旧七軒東小学校の一角を使い、現在は3名で、おしゃべりしながら趣味の延長のように楽しく続けているそうです。「みんなで育てた野菜を使って、”私たちがいつも食べている味”で作っています。だから決められたレシピはありません。その時採れた野菜に合わせて、一番おいしくなるように味付けしています。それはもう手が覚えてる感じかな」。『おみ漬け』を味見させて頂くと、そうそうこの味!という、あきらかにスーパーで売っている漬物とは違う、懐かしい味がしました。それはきっと万人の舌に合うように開発された漬物ではなく、”洋子さんたちがいつもお茶飲みをしながら食べている漬物”のおすそ分けであるからだと感じます。

「出荷しているものには賞味期限が一応あるけれど、私たちの漬物は保存料が入っていないからできるだけ早く食べてほしいの、やっぱり作ったものをすぐ食べる、それが一番おいしいからね」

 

夏は山菜、秋はきのこが採れる時期が過ぎ、七軒地区・貫見にも保存食である塩蔵物をたべる、長い冬がやってきます。洋子さんの生活からは、一見従来の暮らしであるかのような、自然と調和したこれからの時代の贅沢な暮らしが感じられることができました。

 

(写真・文:布施)

『ぬくみ里の幸』

販売場所:産直生き活き十八才(大江町)、アグリランド産直センター(寒河江市)など

お問い合わせ:☎︎0237(64)2925

大江町ホームページ

http://www.town.oe.yamagata.jp