メニュー

夫婦を編む おおえブランド ニット小野寺

長く寒い大江町の冬。今日はそんな冬の暮らしにとって欠かせない、暖かなニットのお話です。

 

身を立てるための技術

『中学を終えた時、父親に”自分の身は自分で立てなさい”って言われてね。兄弟が多かったから高校へ進学させてもらう余裕もなかった。ニットの仕事で手に職をつければ将来の心配もないだろうって、山形での就職を勧められたんだよ。』ニット小野寺の小野寺昭雄さん(藤田)が生まれ故郷の秋田から知り合いを頼って大江町のニット工場へ就職したのは昭和35年のこと。それから60年余りの間、小野寺さんは奥様のシゲ子さんと二人三脚で見知らぬ誰かが袖を通すセーターを一着一着、丁寧に織り続けてきました。

 

 

人の手だから出来ること

小野寺さんご夫妻が扱う素材はすべてカシミヤ。インドのカシミール州に紀元を持つカシミヤ山羊の羊毛です。軽くしなやかなカシミヤ製品は一般的な羊毛製品に比べ保温と保湿性に優れ、その風合いも併せ古くから高級素材として時の貴人にも重宝されてきました。『同じ工場で働いていたカミさんと結婚し、昭和50年に独立してからはカシミヤひと筋でやってきました。カシミヤはね、すごく繊細で扱いが難しいんだよ。手編みの工場でも製品化を断ることが多かったんじゃないかな。当時は自動化と分業化が進んでいたけど、私は全ての工程を自分の手で行うことにこだわってきた。人の手にしか出来ないことが必ずあるし、職人が機械に負けちゃいられないからね。』

 

 

シゲ子さんは昭雄さんの手がけるニット製品の魅力を『サイズ感とお客様に合わせた細やかな対応、それに何より着て下さる方を喜ばせたいっていう気持ちが伝わるところかしら』と微笑みます。大江町の特産品として『おおえブランド』に認定されている他、ふるさと納税の返礼品としても人気があり、遠方からの注文も多いそうです。『大阪から同じ形のベストを7着と注文があったんですよ。間違いじゃないかしらと電話してみると、”間違いありません”って。夫はまず試着分として1着を送り、着心地などを確認してから残りの6着をこしらえていました。』リピーターも多く、何よりお客様を大切にする昭雄さんの姿勢が伝わるエピソードをお話しして下さいました。

 

 

プレゼントしたくなるセーター

山羊を飼い、刈った羊毛を糸に紡ぐことが各家庭で冬場の内職として盛んに行われていた大江町。生真面目にひとつのことを続け、自らの仕事と真摯に向き合ってきた職人の技術は価値あるものとして見つめ直され、評価が高まっています。

『手先が器用な訳じゃないし、自分が特別腕のいい職人だとも思わない。自慢出来ることがあるとすれば、どんな仕事も断らずにやってきたことかな。経験させて貰った仕事の数や時間の過ごし方が自分を作るんだよ。職人に一人前なんてないけど、これからは世話になった人や地域に少しずつ恩返しが出来たらいいね。』そう話す昭雄さんに最後の質問を投げかけてみました。

 

『奥様にセーターをプレゼントしたことってあるんですか?』

 

ないない!と照れ隠しに顔の前で大きく手を振る昭雄さんに、シゲ子さんが優しくこう続けます。『だってウチのセーターは私とお父さん、二人揃わないと作れないのよ。』カシミヤ同様、夫婦関係もお手入れが大切。少しだけ陽に溶けた雪を踏んで歩く取材の帰り道、僕も誰かにセーターをプレゼントしたくなりました。

 

合わせて読みたい!おいで、おおえ過去の記事
甦れ商人魂 木村圭一さん
http://wp.me/p8uxJl-eW

 

ニット小野寺ホームページ
https://knitonodera.jimdo.com
ニット小野寺さんも認定されている『おおえブランド』ホームページはこちら
http://ooebrand.com
山形県大江町公式ホームページ
http://www.town.oe.yamagata.jp